クイックを速くする方法 盗塁阻止 セットポジション
クイックの速さの基準
足の速いランナーが一塁にいる時、ピッチャーならば絶対にスコアリングポジションである二塁にはランナーを進めさせたくないものです。
送りバントならアウトを1つもらえたり、バントをミスしてくれれば、セカンドでランナーをアウトにできることだってあります。
しかし、盗塁は何の犠牲もなく、進塁を許してしまい、一気にピンチになりかねます。
それを阻止するためには、キャッチャーの技術も必要ですが、ピッチャーのクイックも大きく関係してきます。
盗塁を阻止するには、ピッチャーとキャッチャーの共同作業になってきます。
キャッチャーの負担も減らし、楽にアウトにできたら、自らも助かりますよね。
そのためにも、クイックという技術はピッチャーとして必ず必要です。
私たちの中でのクイックスピードの基準タイムは、1.20以内としています。
これは、ピッチャーが動き始めて、キャッチャーミットに到達するまでの間のタイムです。
1.1秒台で投げることができたら、よほどのことがない限り、セカンドでアウトにできると言われています。
1.2秒台でもいいのですが、なるべく、1.2秒台前半を目指してほしいと思います。
クイックが速い投手のメリット
クイックが速い投手のメリットとしては、さっきも書いた通り、盗塁を阻止する確率が上がります。
単に、クイックのタイムが速くてセカンドでランナーをアウトにできることに加え、リードしているランナーのスタートも切りにくくなるというメリットも含まれています。
そしてもう1つ、クイックが速いピッチャーのメリットは、
クイックが速いだけで、『盗塁を仕掛けづらい』ということです。
仕掛けられる前に、釘を刺しておくことができるということです。
そしてクイックはランナーに対してだけではなく、
対戦相手のバッターにも効果的な武器になります。
速いクイックモーションで投げることができれば、バッターのタイミングも崩すことができるからです。
この点も含めて、クイックはとても大事な技術だと言えます。
クイックのデメリット
これは、私の中では、特に思い浮かばないのですが、
一応書いておくと、
自分の投球フォームやバランスを崩す可能性があるということです。
クイックを速くすることだけに気をとられてしまい、投球自体が疎かになり、痛打されたり、
クイックになったとたんフォームを崩し、本来の球が投げれなくなってしまい、いろいろな攻撃的な作戦を仕掛けられたりします。
そうさせないためにも、クイックの技術を磨いておくことは大事になってきます。
私はこれをクイックのデメリットと感じていないのは、
練習すればいいだけだからです。
練習すれば何とかなることなので、デメリットだとは思っていません。
これからその大切なクイックを速くしていく方法を書いていくので、
クイックが苦手なピッチャーがいたら、参考にしてもらいたいと思います。
クイックを速くする方法
クイックを速くするにはまず、素早く動き始めることが大事です。
そのために、いつもより上体の力を抜いておきます。
なんでもそうなんですが、力みはすべてのパフォーマンスを落とします。
速く動かないといけない!
と体に力を入れていては、速く動くことはできません。
そしてここから、素早く足を動かしていくと思うのですが、
私は足を速く動かすという意識はありません。
足を速く動かすというよりは、骨盤をホームに走らせるというイメージにしています。
軸足の上に頭を残したまま、スッと骨盤だけを走らせる感じです。
なぜ、そのような意識にするかというと、足に意識を持っていくと、
どうしても上体が足についていってしまい、軸が突っ込んでしまうからです。
それと、これは私の持論ですが、脳からの伝達を意識したときに、
足先よりも、骨盤のほうが近いというのと、
少しでも大きな筋肉に伝達したほうが動力は大きくて、速いと考えているからです。
まぁ時には思い込みもマインドコントロールの役に立つと思います。
そして、骨盤をホームに走らせるという意識にすることで、素早くヒップファーストの形を作ることができます。
【ヒップファースト…右投手の場合、頭を残し、左のお尻からホーム方向に向かっていく形のこと。(写真の形)】
そうすることで、ワインドアップから投げる時と同様の形を作ることができ、投球に支障が出なくなります。
練習方法としては、自分の力で素早く骨盤を走らせる練習を、ひたすら反復練習することも大事ですが。
イメージが湧きにくい人は、誰かに手伝ってもらい、
セカンド方向から、ホーム方向へ、骨盤を押してもらい、勢いをつけてもらうという方法も効果的です。
そしてもう1つ、クイックを速くする方法として、
軸足をねじってロックしておき、その反発の力を使うという方法です。
どういうことかというと、
軸足のつま先を少し内側に向けて、軸足にねじりを加え、軽く内股の形を作り、
反発しようとする軸足を左の足で止めておく。(②)
いわば左足はストッパーのような役割にしておくイメージです。
左足が離れた瞬間に、軸足の反発が解放され勢いよく動き出せるという仕組みです。
次の写真で説明します。


②の時にプレートから足が離れないように気をつけましょう。
私は、ランナーが盗塁しそうだな。と思った時にこれを使って少しでもクイックを速くするようにしていました。
クイックを練習するときの注意点と練習方法
これまで書いてきたように、クイックという技術は投手にとってはとても大切なものです。
上達できれば、ランナーを出した時でも、
「クイックは得意だから盗塁してきてもアウトをとれる」
と、気持ちにも余裕ができ、投球の質も上がってきます。
ランナーを背負っても動じない、粘り強いピッチャーになれます。
勝てるピッチャーになるには必要不可欠なスキルなので、ぜひとも練習して上手になってもらいたいと思います。
《注意点》
そこで、クイックを練習するときに注意してほしいことは、
決して手投げにならないようにすることです。
速く投げたいという気持ちが強くなればなるほど、上体や腕の力を使って投げてしまいがちです。
しっかりと下半身主導で、体全体を使って投げれるようにしましょう。
下半身の使い方は、ピッチングでの正しい下半身の使い方 ケガの予防 強い球を投げる為の下半身強化に詳しく書いてあります。
《練習方法》
私がしている練習方法としては、
遠投の中でクイックを入れるという練習です。
遠投なので、上体や腕だけの力では相手までボールが届きません。
なので体全体を自然と使わないといけません。
その環境下でクイックを入れ、速いフォームで遠くに投げる技術を身に着けていくというものです。
クイックを課題にしているピッチャーがいたら試してみてもらいたいと思います。
ピッチャーはただ速い球を投げればいいだけではなく、
打者を抑える頭脳だったり、
打者やランナーのちょっとした変化に気付ける洞察力、
そして、牽制やフィールディングなどの守備力。
いろいろな能力が必要になってきます。
クイックもその中の一つです。
しっかり練習して、苦手なことを得意分野に変えて、
勝てるピッチャーになっていきましょう。
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