キレのいい球を投げるには 回転数を上げるには のびる球を投げるには

2020年1月9日

球のキレとは

 

球のキレ、いわゆる『切れ味』

球は速いのになぜか打たれるピッチャーと、

球はそこまで速くないのに不思議と打たれないピッチャーがいると思います。

その差は

『ボールのキレ』だと思います。

例えるなら、

見た目は大きく迫力のある包丁でも、磨かれていない包丁と

見た目は小さな包丁でも、しっかりと研磨された包丁

のようなもので、

『切れ味』が全然違います。

キレのいい球とは、研磨された包丁のほうですよね。

そんな武器があればピッチャーとして心強いですよね。

話が少しそれましたが、球のキレとは要するに、

バッターが打ちにくい球。

質のいい球。

のことです。

キレのいい球が投げられたら、バッターを抑えることができます。

そんな球、ピッチャーだったら誰でも投げたいですよね。

今回は、球のキレの具体的な説明と、球のキレを良くする方法を書いていきたいと思います。

 

 

キレのいい球がなぜ打ちづらいのか

キレのいい球とは、

  1. ボールの回転数が多い
  2. 回転の軸が投げたい方向に垂直である(縦回転)
  3. 回転する角度が地面と垂直である(縦回転)  (ストレートの場合)

この3つすべてが揃っている球です。

この3つが揃った球がなぜ打ちづらいかというと、

まず、初速と終速の差が少ない

リリースされてからキャッチャーミットに到達するまでの球速が落ちないこと。

そして、進行方向に対して、強いバックスピンがかかるため、

重力に逆らう力がうまれ、球が落ちにくくなる

この2点から、バッターが予測して作ったミートポイントとイメージを壊すことができる

それに加え、もしバットに当てられたとしても、

回転数が多いため、インパクトしにくい

よって、キレのいい球は打ちづらいと言えると思います。

 

 

見た目をとるか、中身をとるか

 

ピッチャーをしていると、どうしても球速に目がいきがちだと思います。

確かに、スポーツニュースなんかを見ていても、

○○投手!最速160キロ!

だとか、

高校最速!!

だったりと、話題にあがるのは、たいていが球速のことです。

○○投手!日本人最高の球のキレ!

なんてニュースは見たことがありません。

もちろん、球速が出ることに越したことはありません。

しかし、

150キロの球をホームランにされたとき、誰が150キロ投げたことを覚えていますか?

140キロでも、三振に取ったら、ナイスピッチングではありませんか?

私は、いくら速い球が投げれても、打たれてしまっては、意味がないと思っています。

スピードガンコンテストをしているならまだしも、

試合で相手に勝つには、相手が打ちづらい、質のいい球を投げるべきだと思います。

 

 

キレのいい球を投げる方法

 

まず、球のキレを良くするには、

先ほど説明したように、球の回転数を上げなくてはいけません

よく回転数を上げるために、手首のスナップを使って指先で強くボールをはじくという人がいると思います。

最終的にリリースする瞬間にその動作は必要ですが、

私はそこだけに力を注ぐのは危険だと思っています。

以前、投球理論のことを書いたときに、

ピッチングとは、体の『運動連鎖』であると書かせてもらいました。

なので私は、リリースポイントにフォーカスすることは間違えていると思っています。

『運動連鎖』の記事はピッチングでの正しい下半身の使い方 ケガの予防 強い球を投げる為の下半身強化に書いています。

 

 

《回転数》

まず球の回転数を上げるには、

体全体の回転・回旋速度から上げていくようにすることが大切だと思います。

そして、その回転・回旋速度を上げる時に注意してほしいのは、

『運動連鎖』にならい、下から順番に回転・回旋することです

リリースに向かって加速していき、リリースの瞬間に

まず、軸足の回旋

そして、骨盤の回転

そして、上体の回転

そして、肩の回旋

そして、腕の回旋

そして最後に、リリース

というように、『運動連鎖』の順番を守ったうえで、体の回転・回旋速度を上げていくことが、

球の回転数を上げるコツだと思います。

そして、この正しい『運動連鎖』ができたら、意識をしなくても、

勝手にリリースは強くなります

この動作ができるようになって初めて、手首のスナップを使って指先で強くボールをはじくことをしたらいいと思います。

 

そして次に、回転軸と回転の角度を整える方法です。

 

《回転軸》

まず、回転軸をまっすぐ縦回転にするには、

シンプルに、リリース時に縦にリリースすることです。

そのために大事なのは、縦にリリースするための準備です。

イメージしてもらうのは、柔道の一本背負いです。

相手を一度持ち上げて、真下に叩きつけます。

持ち上げることができなければ、真下に叩きつけることはできません。

この持ち上げるという行為が、縦にリリースするための準備のことです。

ピッチングの中で、持ち上げる行為を行うタイミングは、

軸足から前足に体重移動をしていく時、いわゆる、『トップ』を作った位置です。

軸足に体重を感じているときに「持ち上げて」

前足に体重が乗るときに「叩きつける」

要するに、軸足でしっかりと持ち上げる『準備』ができたら、縦にリリースすることができるということです。

そしてその時も、『運動連鎖』にならい、肩からしっかりと回旋していくことがとても大切です。

 

《回転の角度》

最後に回転の角度ですが、ここでは、指先の話をします。

くれぐれも、指先だけに意識をもっていかず、私がこれを書いている順番が最後のように、

『運動連鎖』ができたうえで、投球の一番最後に意識をしてもらいたいと思います。

 

ストレートを投げる際、人差し指中指を縫い目に掛け、親指でロックすると思います。

そしてそのまま、まっすぐ腕を振りリリースすると、どうなるか。

必ず、最後に中指に引っかかってしまい、ボールの回転の角度は乱れてしまいます。

なぜかというと、体の構造上、人差し指よりも中指のほうが長いからです。

そのため、最後に必ず、中指に引っかかってしまうということです。

人差し指中指が同じタイミングで、その上、均等な力でリリースすることができたら、

ボールの回転の角度はまっすぐになってくれます。

では、人差し指中指が同じタイミングで、なおかつ均等な力でリリースをするにはどうすればいいのか、

その方法は、人差し指遠心力を与えてあげるという方法です。

どういうことかというと、中指から肘にかけてを軸にして、前腕を回旋させるということです

そうすることによって、もともと長い分引っかかってくれていた中指に、

遠心力という力が加わった人差し指が追いかけてくる形になり、

同じタイミングで、均等な力でリリースすることができるということです。

 

この3つのことができるようになれば、球のキレがよくなり、

バッターは打ちづらくなります。

正しいフォームを身に着け

見栄えだけじゃなく、ボールの質を向上させ

本当にいい投手勝てる投手になりましょう。