練習に臨むときの心構え いい練習と悪い練習 冬季トレーニング 体作り

2020年1月12日

練習を充実させる

 

試合でいいプレーをするため、相手に勝つため、ライバルに差をつけるため、将来プロになるため

いろいろな思いを持って毎日、来る日も来る日も練習に汗を流していると思います。

私もその中の一人です。

朝起きた時、目覚めもよく、体調のいい日もあれば、

起きた時から、体がダル重く、やる気が出ない日もあります。

そんな中でも、チームの練習は毎日あって、その中で体を鍛えていかないといけません。

練習の調子の良し悪しによってモチベーションも揺らぐことだってあります。

私は今ピッチングコーチをしていて、いろいろなタイプの選手を見ていますが、

練習でうまくいかず、元気のない選手を見つけては、声をかけて、

その時の気持ちを聞いたりしています。

なるべくモチベーションを高く練習に臨んでほしいからです。

落ち込んでいる暇があったら、反省点をいち早く見つけ、練習をしたほうがいいと思っています。

今回は、私自身の経験と、コーチとしての経験を書かせてもらいます。

 

 

良い日と、悪い日

 

人間には、調子のいい日と、悪い日があって、

できたら、調子のいい日が続いてほしいものですが、

そうゆうわけにはいきません。

どちらかというと、調子の悪い日のほうが私は多いと思っています。

その調子の悪い日を、どう過ごすか、

それと、どう減らすかが大事だと思います。

必ず調子の波はあるのだから、その波の幅を小さく、そのうえで右肩上がりにできたら最高です。

そのためには、気持ちのコントロールや、受け止め方がとても大事だと思います。

私は、調子の悪いときは『上達するチャンス』だと思っています。

調子の悪い日を乗り越えたら、いずれ調子のいい日が来るのだから、

その時に大幅に成長できるように、前向きに調子の悪い日を過ごすようにしています。

失敗には必ず、成長のヒントが隠れていると思います。

調子の悪い日は、正直楽しくないです。

だけどそこで、後ろ向きにならず、『上達するチャンス』と思えば、

もっと時間を有効に使っていけると思います。

 

 

時間に逆らわない

コーチをしていて、選手たちを見ていると、

同じ練習をしていても、目標や課題をもって練習に臨んでいる選手と、

その時の思い付きなんかで練習をしている選手など、

いろいろと見えてきます。

練習中の表情なんかを見ても、調子のいい選手や、うまくいかず悩んでいる選手が見えてきます。

調子のよさそうな選手はそのまま好きにやらせますが、

悩んでいそうな選手には声をかけるようにしています。

そこでいろいろと悩み事を聞くのですが、決まって言われるのが、

「前回こうしてよかったのに、今回はうまくいきません」

だとか、

「調子が悪いので、いい時の映像を見たのですが、、、」

という言葉をよく聞きます。

私自身も同じ経験をしてきました。

私もその選手たち同様、昔の映像を穴が掘げるほど見たりしていた時もありました。

しかし、なかなか解決するまでには至ることはありませんでした。

それはなぜかというと、

その時の身体の状態には戻れないからです。

時間が進めば、体も日々、成長または老化していってるのです。

5年前の体と今の体が違うように、昨日の体と今日の体は違うのです。

なので、時間を戻して考えるのではなく、

今の状態を確認することがとても大事だと思っています。

昔の映像を見るのではなく、今の映像を何回も何回も見ることが一番の解決策だと考えています。

悪い映像は見たくないものですが、上達するためには勇気を出してその姿を見る必要があると思います。

昔に戻ることは、不可能です。

現状を把握し、今、ベストを尽くすことが大切です。

 

 

昨日の成功は昨日まで

 

私の経験ですが、たまに朝から体調がよく、頭も冴え、絶好調の日がごくまれにあります。

できたらその調子をずっと続けていけたらいいなと思い、

その時なんで調子がいいのかを考え始めます。

そしてその時見つけた、良かった点に頼り、毎日を過ごしていると、

ある日突然その武器が通用しなくなる時があります。

前にも書いたように、昨日の体と今日の体は違うのです。

体の時間が進んでいるのに、頭の時間は止まってしまっているのです。

昨日は昨日、今日は今日なのです。

調子がいい時になぜ調子がいいか、ポイントを探すことは大事ですが、

それに依存し、頼りすぎるのはよくないと思います。

だからと言って何も考えずに練習するほど無駄な時間はありません。

なので私は、調子がいい時の、成功点を見つけ出し、

それに頼るのではなく、単に困ったときの引き出しにするように心がけています。

その引き出しを増やせば増やすほど、いざというときのテクニックというよりは、

メンタル面で自分を楽にでき、優位にパフォーマンスを出すためには役に立つと思っています。

とにかく以前の成功には頼らないようにしています。

何回も言いますが、

昨日は昨日、今日は今日です。

過去に依存しすぎない。

新たな発見を探すことが大切です。

 

 

柔軟な対応が上達のカギ

私は、毎日の練習に臨むとき大切にしているのは、

何も考えず、頭をフラットな状態にして、練習に入るようにしています。

そして、最初のストレッチ、ジョギング、体操、キャッチボールをしていく間に、

自分の体と向き合い、会話し、その時の状態を受け止め、

その日その日に解決できるようにしています。

練習で、技術を磨くことも大事ですが、

私が大切にしているのは、その日の体の状態をいち早く把握し、ベストの状態に持っていくことです。

もちろん試合が近づいてくるとコンディションを合わせていきますが、

当日になって、万が一調子が上がってこなかった時のことを想定し、柔軟に対処できるように練習をしています。

技術練習と対応力をつける練習です。

私が教えている選手たちを見ていると、

試合の時に、相手と戦わなくてはいけないのに、勝負のベクトルが自分に向いてしまい、

自分と戦っている間に、相手にやられてしまうケースをよく見ます。

そうならないためにも、普段から対応力を身に着け、

その日のベストの状態で、相手と戦っていけるようになればいいと思います。

 

 

その日の悩みはその日のうちに

万が一調子が悪かった場合。

そんな時はとにかく、「上達するチャンスがきた!」と思い、

前向きになることが大事です。

過去を振り返っていても、前には進めません。

後ろ向きに歩いていても、足元に落ちている障害物には気付くこともできず、躓いてしまいます。

とにかく前だけを見ていろいろなことにトライしていきましょう。

もしもうまくいかなかったとしても、

今日はダメだった。で帰らないようにしましょう。

自己満足でもいいので、解決策を見つけましょう。

それが上達する一番の近道だと思います。

 

 

前を向ける『言葉』

 

私が阪神タイガース時代、

1年目の秋に、アリゾナのフォールリーグというものに参加させてもらった時のことです。

ある一人の外国人投手が、試合でボコボコに打ち込まれ、大炎上をした時がありました。

チームメイトなので試合後に声をかけに行きました。

その時はひどく落ち込み、返事をするのがやっとなくらいの状態でした。

そして次の日も、少し心配になり、その選手に声をかけに行こうとしました。

すると、

その選手のほうから、明るく陽気に接して来てくれました。

私は安心したのと同時に、少し不思議になり、聞いてみることにしました。

「なんでそんなに明るくいられるの?」

そう聞くと、その選手は一言、

「today is new day!!」

と笑っていました。

『今日は新しい一日』

それこそまさに、昨日は昨日、しっかり反省したんだから、悩んでないで、また次、頑張ろう。

とても前向きな、素晴らしい言葉だと思いました。

この言葉は、今教えている選手たちが悩んでいるときにも、教えてあげるようにしています。

過去を振り返らず、前だけを見て、明るい未来に突き進んでほしいと思います。

新しい明日に向かって、踏み出しましょう。