選手たちへのメッセージ チームが勝つために考える ミーティング
再出発
先日、久しぶりに練習試合が行われました。
久しぶりというのは、
先々月に大きな大会が終わり、
短期間ではありますが、休養をとって、
リフレッシュをする時間を設け、
試合の間隔が少し空いてしまったことで、
久しぶりの試合となりました。
チームは大きな大会で敗退したため、
このリフレッシュ期間で、気持ちを切り替えて、
次の大会に向けて練習を続けていました、
約1か月ぶりの試合でした。
私は少しワクワクした気持ちで試合を見ていました。
というのも、
大会で完膚なきまでにやられてしまい、
チームの士気はとても下がっていました。
そんな中、
ある日の練習前に、チームのキャプテンがみんなの前でこんなことを言いました。
「次の大会に向けて、全員が『本気』になって頑張ろう」
私がずっと思っていたけれど、
当たり前すぎて言えなかったことを、代わりにキャプテンが言ってくれました。
その『本気』というワードを選手のほうから気が付いてくれたことに、
私自身も目が覚めた気がしました。
私はいつの間にか目線を下げ、選手に気を遣い、
練習の中にも楽しさを加えるようになっていました。
その甘さが知らないうちに選手に浸透し、
大事な大会で思うような結果を残せずにいました。
その日から私は、
『優しい西村コーチ』と決別することにしました。
選手がその気なら私も『本気』で臨もうと思いました。
そんなことがあったということもあり、
この久しぶりの試合は楽しみでもありました。
0-9
結果は、
0-9
ワンサイドゲームの大敗でした。
試合後、
選手たちは、
気持ち新たに頑張ってきたのにこんな大差で負けるなんて、
どうしていいかわからない、
なぜ勝てないかわからない、
という雰囲気でした。
頑張ってきている選手もいたからこそ、
見ていてとても残念な気持ちでした。
まだ、新たに『本気』のスタートを切って間もなかったので、
仕方ないとも思いました。
しかし、
立ち直り切れない選手たちの姿を見て、
私は何とかしてあげたいと思いました。
負けの原因
その試合後のミーティングは、
「とりあえず頑張るしかない」
「今取り組んでいることを、とにかくやり続けるしかない」
と、闇雲なものでした。
私は聞いていて、
このままじゃダメだと思いました。
今までと何も変わらない。
同じことの繰り返し。
『負けやミスには必ず原因がある』
この負けの原因をみんなで探さないといけないと思いました。
そこを見つけていかないと、
何をどう頑張っていいかわかりません。
私は、いろいろな事情があり、
野手に意見することを禁じられていました(このことはいつか話します)が、
この日は、何とかしてあげたいという思いで、
久しぶりに選手みんなの前で話をさせてもらいました。
「久しぶりの試合だったね。なんで負けたと思う?」
誰も答えることができません。
私は待ちましたが、答えは出ません。
目が合った選手を指さし、
「なんで負けたと思う?」
尋ねました。
「エラーがありました」
次の選手を指しました。
「四球がありました」
次。
「ミスがありました」
確かにすべて負ける原因に絡んでいると思います。
ただ私はこの時に、
選手たちは『本気』で考えようとしていないと感じました。
エラーがあったからどうなったのか?
四球が出たからどうなったか?
そしてなぜエラーや四球が出たのか?
そこまで掘り下げて原因を見つけようとしていませんでした。
このままでは同じミスを繰り返します。
同じミスを繰り返すことは本当の間違いです。
《本当の間違いとは何か》
私はこの試合を見ていて、
とても単純だけど、
負けの原因に直結しているんじゃないか?ということに気がついていました。
野球とは
試合に負けた原因。
「エラー」「四球」「ミス」
もちろんすべて正解です。
これから私が話す内容にも関わってはいます。
しかし私が感じたことは、
とても単純で、幼稚なことですが、
『攻撃の時間と守備の時間の差』
でした。
私が選手に伝えた話はこうでした。
「もちろんエラーも四球もミスも負けた原因やと思う、
今から言うことは幼稚かもしれないけど、
もっと攻撃の時間を長くしないか?
攻撃の時間のあいだしか点は取れないんだよ?
そして逆に、守っている時間には点が取られるかもしれないんだよ?」
この日の試合は約3時間ゲームでした。
「試合を見ていて感じたけど、この3時間の間、何分攻撃した?
相手に2時間以上攻撃されてるよ。そりゃ負けるよ。
サッカーに例えると、『支配率』だよね。
相手に攻撃されっぱなしのディフェンスのチームになってるよ。
本当に幼稚かもしれないけど、
守りの時にテンポアップして、ゆっくり攻撃しようよ。
今までは『負けるスピード』で試合をしていたってこと、
『勝つスピード感』を覚えていこうよ」
話していてとても恥ずかしい内容でした。
だけど私は『本気』でした。
野球とは、
表と裏が約9回あるスポーツ。
その中に『流れ』という見えない力が働く、独特で繊細なスポーツ。
1つのプレー、1球で流れが変わる、魅力的で恐ろしいスポーツ。
その中に、もちろん個々の力の差はあれど、
考え方さえ変えれば、
見えない力を使って、目に見える力の差を埋めることもできる。
そのために何をすべきか、
今回見つけた、たった1つのアイディアでした。
目には見えない不思議な力
この日の試合、
両チームともに久しぶりの試合とあって、
投手の継投が多い試合でした。
その結果は、
相手チームピッチャー陣の投球数100球ちょっとに対して、
自チームのピッチャー陣は180球を超えていました。
勝てるはずがありません。
自チームはおよそ2試合分の球数を投げさせられていました。
結果論で、
9点取られたから180球を超えたわけではありません。
その過程がよくないから、無駄な投球が増え、180球も投げさせられ、その結果9点取られたのです。
投球数はおよそ2試合分。
そして投球間隔の時間も長い。
その間野手陣は、炎天下の中、立ちっぱなしで声を出して守ってくれています。
2試合分もの守備をしている状態なので、
野手陣の体力にも、攻撃の集中力にも影響が出てしまいます。
そんな投球をし、へとへとの野手に点を取ってくれというのは、
あまりにも身勝手で都合のいい話だと思います。
はたして得点が取れないチームは、すべて野手の責任なのでしょうか?
そして野手も含め、全体的に見て、
投球間の時間、サインプレーなどで頭を整理をする時間、
サインを出すスピード、サインのタッチ数、ポジショニング。
どこをとっても時間を使いすぎていました。
『丁寧』『慎重』の言葉の裏に潜む、
『間延び』になり、
テンポも悪く、メリハリのないチームになっていました。
では、
具体的に守りの時間を短くして、攻撃の時間をながくするには何をするべきか。
まず守りの時。
守りのペースメーカーはバッテリーです。
ならば、投球間隔を短くして、どんどん投げていく。
キャッチャーはテンポよく返球をしたら、
早くサインを出す。
そして野手は、早くポジショニングをすること。
そしてサインのタッチ数も減らすこと。
そして攻撃の時に時間を使う方法は、
打席にゆっくりルーティンを入れながら入ってみたり、
1球1球しっかり時間をかけて配球を読む癖をつけて、
追い込まれたら少しでも粘り、相手の球数を増やす努力をする。
野球の技術とは少しずれていることなので、
「こんなこと意味がない」という人もいると思います。
それではここで、守りのテンポアップに関しての、
私なりの「メリット」と「デメリット」を書いていきたいと思います。
『メリット』『デメリット』
【メリット】
・守備の時間を短くすることで、シンプルに攻撃陣が早くベンチに帰って休める。
・攻撃陣が長くベンチにいることで、攻撃に集中することができる。
・守備の時間が短いことで、守備のリズムを攻撃につなげることができる。
・攻撃に時間を費やすことができると、いろんな作戦を思いつく。
・その反対で、守りのテンポが速いと、相手に作戦を考える時間を与えない。
・野球は間合いのスポーツでもあるので、相手の立ち遅れを起こさせることができる。
・投球テンポが上がると、バッターを差し込ませることもできる。
・投球テンポが上がると、バッターに配球を読まれる隙も与えない。
・投球テンポが上がると、守備陣のエラーやミスも減る。(余計なマイナスイメージも湧いてこないため、体が自然に動く)
・相手打者が明らかに嫌がっている。(勝つためには相手の嫌がることをしないといけない)
・先を読む力も付く
・スピードアップ野球が求められている昨今、審判も味方につけることができる。
【デメリット】
・投球テンポを上げることで、自分のペース、ルーティンがとれない。
・打たれてしまった時、ミスが出てしまった時、後悔が残る。(雑になってしまったと悔やむ)
『メリット』『デメリット』その2
私の個人的な見解なので、多少バイアスがかかってしまうかもしれませんが、
デメリットよりメリットの方が圧倒的に多いと思います。
そしてこのデメリットの部分も、
考え方次第では、
無くすこともできるとまで考えています。
まず、
自分のペースで投げたい、味方が求めていないルーティンを入れたい。
これは自己中心的考えであり、チームが勝つためにはチーム優先主義でないといけない。
よって、守ってくれている野手陣が守りやすい方を最優先し、
その中で力を発揮できるよう、工夫をして練習をするべきである。
私がアドバイスしたのは、普段の投球練習の時からテンポを上げてみるなど。
そして次に、
ミスが出てしまった時、打たれてしまった時、
「雑になってしまった」「もっと考えて投げればよかった」
こんな後悔が残ると思います。
ではこの時悔やむことはテンポアップをしたことについてだろうか?
これだけメリットが多いなら、
テンポアップしたことを悔やむのではなく、
そのペースについていけなかった自分の能力、頭脳、センスを悔やむべきである。
そしてそこを自分自身で、
練習、訓練、学習していけばいいだけだと思います。
ここまで説明をしてきましたが、
『攻撃の時間と守備の時間の差』
この問題点に気付いたとき、
チームが勝つためには、
逆をの言い方をすると、
チームが負けないようにするためには、
この意識はとても大切な要素だと感じました。
まとめ
この問題点をみんなの前で話してから、
私なりに自問自答することがありました。
話を聞いている選手たち全員が、納得しているようには見えませんでしたし、
技術的なことが敗因だと言われると思っていた選手たちには、
いきなりの幼稚な提案は、響きにくい状況でした。
だけど私は『本気』でした。
私のこの提案の中には「別の目的」も含まれていました。
私のことを信じて、
率先してみんなを引っ張ってくれる賛成意見の選手が多くいました。
しかし選手の中には、
「プレーがやりにくい」「結果論だ」「そんなの意味がない」
という反対意見の選手もいました。
ですが、私の中ではチームを良くするための1つの手段として大切なことだと信じていました。
なので少しずつでもチームに浸透していけばいいなと、願っていました。
これがチームに浸透したときには、さらなる相乗効果を期待していました。
それからも自分なりにたくさん考え、
次チームが躓いたときの準備、
困った選手が出てきた時の助け舟の準備をしていました。
。
。。
。。。
その後チームはというと、
この『テーマ』やり始めた頃こそは、
さすがに、すぐにはうまくはいきませんでしたが、
今現在、練習試合ではありますが、
連勝中です。
ベンチで試合を見ていて、負ける気がしません。
負ける気がしないというか、負けるかもという雰囲気を選手たちから感じません。
ビハインドの展開でも、いつでも逆転できるという雰囲気に変わってきました。
何が変わったか、
それは選手みんなが『やるべきこと』を見つけたことです。
みんなが同じ方向を向いています。
チームが一つになっています。
「こうすれば勝てる」
「これをやっておけば大丈夫」
この気持ちと、
「やるべき方向性」「やらなきゃいけないこと」
解決策、方法論、進むべき道、戻る場所、を持っているから、
焦ることもないし、常に余裕があります。
それがチームの雰囲気を変えました。
チームの明確な『テーマ』ができたおかげでマイナスな思考も減りました。
言動も変わってきました。
自分が何をするべきか、何をしたらこのチームの役に立つか、
余計な発言も自然と減ってきました。
みんなで攻撃し、みんなで守る。
「ピッチャーは野手が攻撃しやすいように投球でリズムを作る。
野手はピッチャーが楽に投げれるように点差を広げる努力をする」
「投打がかみ合う」とはこのことだと思います。
『チームワーク』
野球の基本です。
野球とは表と裏の9回のスポーツと言いましたが、
今や表裏合わせて18回攻めている感覚にもさせられます。
「流れ」「勢い」「リズム」「チャンス」見えない力を意識するようになりました。
ゲーム自体をコントロールし、試合を支配できるようになってきました。
勝ちを意識して、勝てるようになりました。
「なぜ勝てないかわからない」
から
「勝ち方がわかっている」
チームに変わりました。
守備でも好プレーを出してくれます。
ベンチで本当に楽しそうに攻撃して盛り上がっています。
本当の意味の
『野球を楽しむ』
とは、このことなのかなと感じています。
もし、力があるはずなのに勝てない。
こんなにたくさん練習しているのに勝てない。
そんな選手やチームがあれば、
ぜひ参考にしていただきたいと思います。
長文、お付き合いいただきありがとうございました。
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