「勝てる投手になるために」

勝てる投手になるために。
仲間に信頼される投手になるために。
そんな投手になるために押さえておくべきポイントや、
マウンド上での考え方を話していきたいと思う。
早速、本題に入るとしよう。
まずは、打率。
打者と相対した時。
投手は、自身の自慢のボールを投げ込み打者を抑える。
そんな映像を思い浮かべるのは当然のことだ。
だが、
それは裏を返すと、
打者を抑えるには自慢のボールを投げ込まないと、そのイメージは成立しないということになる。
さらに言えば、
自慢のボールを投げ込めなかった場合、よくない結果が待っているということになる。
だから不安と共存してしまう。だからマウンドに向かう時に緊張してしまう。
与えられた課題を自分一人でクリアしないといけない。
そんな思いがプレッシャーを生み出すことになる。
その状態でマウンドに上がれば、
鼻息荒くバットを持って構えている打者はとても大きな敵に見えてしまうだろう。
要するにこれは、
負ける投手の考え方である。
では、
勝てる投手はどんな考え方を持っているのか。
マウンド上から、「とにかく相手が嫌がることをしてやろう」。
「どこが苦手か」「癖を見抜いてやろう」。
「そもそもバッターは、良くても3割しか打てない」。
「ストライクゾーンに投げ込めば、7割はピッチャーの勝ちだ」。
勝てる投手というのは、
対戦をする前の段階からマインドで優位に立っている。
投手が投げないと、プレーは始まらない。
そもそもが「先手の生き場」ならば、
何かを仕掛けないと損である。
先に仕掛けるからこそ、相手の記憶に残り、
そこで起きたことから得られる情報があるのである。
7割が勝ちならば、
慎重になることが不釣り合いだと思わなければならない。
次に、カウント。
投手と打者が対戦するとき。
大きく勝負を左右する要因になるのが、
この「カウント」である。
カウントで、その瞬間の状況やその瞬間の感情。
そして、その先の対策が変わってくる。
ストライクとボールのカウントは12種類ある。
この中に有利、不利とがある。
※ボールカウントを先に表記。
【投手有利カウント】
0-1
0-2
1-2
【打者有利カウント】
1-0
2-0
3-0
2-1
3-1
【並行カウント】
0-0
1-1
2-2
そして。
【3-2】
これは互いに後がなく、どちらが有利とも言い切れない。
こうして見ると。
打者有利なカウントの方が多く、投手は不利に感じるかもしれない。
しかし、前述したように打者は3割打てば良い打者と言われる。
つまり打者有利なカウントであったとしても、必ず打たれるわけではない。
カウントのアドバンテージと打率。
それらを考えるとこの勝負はそこまで一方的なものではないことがわかる。
話は戻る。
このカウントの中にはそれぞれの状況にそれぞれの心理が存在する。
例えば。
【3-0】
この場合、投手は「もうボール球は投げられない」と思ってしまう。
【0-2】
この場合、打者は「三振したくない」と思うであろう。
【2-1】
投手は「3ボールにはしたくない」
「バッティングカウントだから思い切って振ってくる」
「甘い球にならないように気をつけないといけない」と考える。
打者は「3ボールにはしたくないだろう」
「ストライクゾーンに投げてくる」
「ストライクを取りにくる球種を狙ってやろう」と考える。
このように、各カウントで双方の考え方があるということ。
そして、このカウント内において、
一球ごとに双方の心理状況が有利になったり不利になったりと移り変わっていく。
野球でよく言われる。
「あの一球で流れが変わった」という言葉。
この言葉の意味もカウント別の心理状況が見えてくると理解できてくる。
このカウントの中でも最も興味深いポイント。
それが「並行カウント」である。
0-0。
1-1。
2-2。
この並行カウント。
これは勝負を有利にも不利にも動かす「最大の分岐点」だと思っている。
例えば、
0-0。
ここでストライクを取れば、
0-1。
投手有利。
しかしボールになれば、
1-0。
打者有利。
1-1も同様
ストライクを取れば、
1-2。
投手有利。
ボールになれば、
2-1。
打者有利。
そして、
2-2。
ここで打ち取れば、三振。
ボールになれば、
3-2。
お互いに後がない。
このように並行カウントというのは、
たった一球で勝負の流れを大きく変えることができる。
有利にも不利にも動かすことができる最大の分岐点である。
だから勝てる投手はこの並行カウントをただのカウントとして考えていない。
「この一球で勝負を動かす」というつもりでいるのである。
このようにカウントにはそれぞれマインド、心理がある。
勝てる投手になる為には知っておくだけでは意味がない。
大切なのは、
そのカウントの中で巡ってくるマイナスのマインドをプラスのマインドに変えることである。
例えば。
【3-0】
負ける投手は、
「もうボール球は投げられない」と考える。
しかし勝てる投手は違う。
「おそらく「待て」のサインが出ている」
「打者もフォアボールが頭にあるだろう」
「だったら振ってこない可能性がある」
「軽く投げてストライクが取れる」と考える。
同じ3-0。
同じ状況。
しかし考え方は全く違う。
次に、
【2-1】
負ける投手は、
「3ボールにはしたくない」
「バッティングカウントだから思い切って振られる」
「甘い球にならないように気をつけないといけない」
そう考える。
しかし勝てる投手は、
「バッティングカウントだから高確率で振ってくる」
「だったら空振りかファールでストライクが稼げる」そう考える。
同じ状況でも考え方を変えるだけで次の一球に向かう気持ちは大違いである。
そしてその「気持ち」というのは投球に必ず表れる。
これが「マインドの変換」というテクニックである。
マイナスをマイナスのまま投げない。
不利な状況をさらに不利にしない。
自分自身の考え方で状況を変える。
それが勝てる投手の考え方である。
そして勝てる投手は、そのマインドのコントロール技術に加え。
カウントを操作する為にある工夫をする。
それが「ギアの調整」。
一般的な投手はピンチの場面や絶対的に優位な場面にギアを上げる。
もちろんそれも間違いではない。
しかし勝てる投手は常に全力で投げているわけではない。
ストレート。変化球。カウント球。ウイニングショット。
それぞれをその場面に応じて強弱をつけながら投球をしていく。
力を入れる場面と力を抜く場面の使い分け。
それが上手な投手は勝てる投手の素質を持っていると言える。
ではどのタイミングで「ギア」を上げることがベストなのか。
それは「並行カウント」の時。
前述したように並行カウントは勝負を有利にも不利にも動かす最大の分岐点である。
並行カウントというのは何気なく投げてはいけない。
「ただの一球」ではないということを覚えておかなくてはならない。
このように考え方次第では打者との対戦を優位に進めることはできる。
しかし考えるだけでは勝てないのも野球。
それを実行する為に最低限必要な技術がある。
まずはカウントを取る技術。
相手が「振ってこない」という設定でストライクゾーンに投球できるか。
ストレートをストライクゾーンに投げる技術はもちろん、
特に必要になるのが変化球でストライクを取る技術。
打者はバットを振ってこない状況でも「ストレートだけは狙っている」という可能性はなくはない。
なので、バットを振る確率をより減らし、見逃しでストライクを稼げる変化球。
そんな球を確実にストライクゾーンへ投げられる技術が必要になる。
そしてもう一つ。
それは、「ファールを打たせる技術」。
カウントを制する為にはただストライクを取るだけではない。
相手に打たせながらストライクを取る。
そんな技術も必要になる。
ファールの取り方については。
また今度詳しく話していきたいと思う。
カウントを制するにはこういった技術を身につける必要がある。
この「必要最低条件」を知っておくだけでも、
普段の練習の目的や取り組み方は変わってくるんではないかと思う。
野球は勝負の世界。
打者も簡単に抑えられたくはない。
カウントも簡単に稼がせてくれるわけではない。
ただこういった準備をしてプレーするのと。
何も考えずにプレーしてしまうのとでは。
その結果には雲泥の差が生まれる。
しっかり考えること。
頭の準備をしてプレーをすること。
これは声を出すことと同様、誰にでもできる部類のこと。
であれば、頭を使わないと損である。
事前に頭の準備をすることは誰にだって平等にできること。
そして何より自分自身を救ってくれる大切な武器である。
同じくらいの能力を持った選手はたくさんいる。
なのになぜプロ野球選手とアマチュア選手で大きな差が生まれるのか。
プロとアマの差はただ野球が上手いだけなのか。
同じくらいの能力を持った選手がいたとして最後に差が出るとすれば。
どれだけ野球に頭を使えたかの差だと思う。
理解してプレーすること。
わからずにプレーすること。
そこにはそれだけ大きな差が生じる。
さらに言えば、
理解してプレーをしている選手とわからずにプレーをしている選手とでは。
見ている人の印象も全く違う。
要はアピールにも影響があるということ。
野球を学び理解をするために頭を鍛える。
カウントを知る。
相手の心理を考える。
次の一球を予測する。
勝負を仕掛けるその一球が有利にするのか不利にするのか。
勝敗を左右する大きな分岐点になる。
だからこそ何も考えずに一球を投げてはいけない。
その一球を理解して投げる。
それだけで野球は大きく変わる。
そしてその積み重ねが投手として選手として。
大きな差になっていく。
だからてもう一度言う。
頭を使わないと損である。
勝てる投手になるために、
ぜひその一球一球を今一度考えてみてはいかがだろうか。

