「ピッチング練習【中級編】」

前回に引き続き、
投手の練習の中でも一番のメインメニューであるブルペンでのピッチング練習についてお話をする。
ブルペンでのピッチング練習の目的と意識するべきポイントを紹介し、
さらなるレベルアップのヒントとなればと思う。
前回は、一般的なテーマについてであったが、
その意識と目的の中身をより深掘りした内容で解説をした。
ブルペンでのピッチング練習は、
「傾斜での訓練」であり、「フォーム固め」と「スタミナの強化」この3つを目的とする。
今回はさらに詳しく、より実践に近づけた内容でその目的を伝えようと思う。
今回のテーマは「投げ分け」について。
さっそく話していこうと思う。
まず一つ目は、
「コース、高低、奥行きの投げ分け」
左右の打者に対し、インコースとアウトコース、高めと低め。
さらには、手前と奥。
この投げ分けができるようにならないといけない。
コースや高低はイメージが湧きやすいが、忘れがちなのが奥行きである。
変化球一つにおいても、手前で変化をさせるのか、奥で変化をさせるのかでは全然違った球種となりうる。
当然打者からの見え方も変わり、その目的も使い方も大きく変わってくる。
ストライクゾーンを平面に見るだけではなく、
立体に捉えることができれば、ブルペンでの練習内容にも奥行きが生まれるということである。
そして二つ目は、
「ストライクとボールの投げ分け」
試合では、審判の判定によりストライクとボールがジャッジされる。
ストライクが取れればアウトが取れるし、ボールばかり投げていればアウトは取れない。
あげく四球でランナーが溜まり、
16球ボールを投げればタダで一点を失うこととなる。
分かりきった説明をわざわざするのにも訳がある。
この基本的な数字を意識している選手が少ないからである。
よって、まずはストライクゾーンに投球できる方法を身に付けておかなくてはならない。
かといってただただストライクを投げればいいわけでもない。
ストライクゾーンの中にも打たれる危険性があるコースもあれば、
力無い球がストライクゾーンに行ってしまうことも同様に危険である。
要するにストライクゾーンに投げる球はそれだけの質を求められるということ。
そういった意識を持ってストライクゾーンに投球する練習をしてもらいたい。
そして、打者の心理を考えてもらいたい。
打者はストライクゾーンに来る球を待っている。
ストライクゾーンにきた球に対して反応をしてくるということだ。
その反対にボールゾーンにくる球は振らない。
言い方を変えると振りたくないのである。
そんなボールゾーンに力一杯投球する必要はあるだろうか。
自身のブルペンでの練習内容を思い出してみてもらいたい。
意図していないボール球を投げてはいないだろうか。
当然ストライクゾーンを狙った球がミスショットをして外れたりした球だろう。
力を入れた球がボールゾーンに行くこと。
それは俗に「無駄球」と呼ぶ。
意図したボール球、もしくはストライクからボールになる球を投じて初めて「有効球」となる。
ストライクとボールの投げ分けはまだまだ奥が深い。
また機会があれば詳しく話そうと思う。
そして最後に、
「振る打者、振らない打者の投げ分け」
この意識を持ってブルペンの投球練習を行っている選手はほとんどいない。
ほとんどの投手が打者はストライクゾーンに来た球を打つと思っているからである。
それは間違いではないが、全ての打者がそうとは限らない。
打者にもたくさんのタイプがある。
来た球に反応する打者、打つ球を決めている打者、打つ方向を決めている打者、山を張って打席に入ってくる打者。
様々なタイプの打者を想定して練習しておかなくてはならない。
その中でもおすすめなのがこの、「振る打者と振らない打者」を想定して投げる練習である。
どんな打者でも、「振る」か「振らない」かの2種類でしかない。
投手側から見て最高なシチュエーションは、
ストライクを振らせず、ボール球を振らせることである。
それに加えて、
振ってきたストライクは強い球で勝負、振らないボール球は弱い球で対応。
であれば効率は非常に良い。
それを、
振るか振らないかわからない状態で投球するのではなく、
前もって設定してしまうのである。
例えば、
カウント3-0の場合ほとんどのチームは「待て」のサインを出すであろう。
要するにバッターは振らないということである。
そこで全力投球は必要か、となる。
しかし、一球ストライクを取り、
カウント3-1になれば、
次の球はほとんどの選手がスイングを仕掛けてくるだろう。
その場合は、
ストライクゾーンに投じなくてはならない事と、弱い球は投げられないことが条件として上乗せされる。
強いストライクゾーンの球で空振り、ファール、もしくは打ち取るイメージ。
もし変化球を投じるなら、スイングを仕掛けられてキャンセルされない出力で、
ストライクからボールで空振り、ストライクからストライクで空振り、ファール、もしくは打ち取るイメージ。
そして、スイングをキャンセルさせてボールからストライクでの見逃し。
この3パターンのイメージを持っていないといけない。
このように多種多様な打者の心理パターンを想定して投球練習を行うこと。
何もイメージをせずに投球練習をしている人は少ないと思うが、
イメージの質を高めることでより実践的な練習となり、
本番で活用できる本物の練習に変わっていくのではないだろうか。
今回紹介した、「投げ分け」を、
ぜひ練習に落とし込んでみてはいかがだろうか。

